エネルギー・資源フロンティアセンター主催(協賛:エネルギー工学連携研究センター(CEE)、先端電力エネルギー・環境技術教育研究センター(APET))の第1回CCSフォーラム「CO2地中貯留を取り巻く技術群の実際と展望~今ある技術、活かせる技術、足りない技術~」が本郷キャンパス工学部2号館213号講義室にて開催されました。地球温暖化対策の一つとしての社会システム的観点から議論されることの多いCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)ですが、本フォーラムではCO2地中貯留を取り巻く「技術群」に焦点を絞り、地下資源開発のプロフェッショナルの目を通して見えてくる貯留技術の実際が紹介されました。参加者は主催者側の見込みを大きく上回る254名を数え、直前には会場を隣の大講義室に変更しなければならないほどの大盛況となりました。
フォーラムでは、まず東京大学地球持続戦略研究イニシアティブ(TIGS)の住 明正統括ディレクターの開会挨拶に始まり、来賓としてお招きした日本CCS調査株式会社石井正一社長よりご挨拶いただきました。挨拶の最後として、「CCSフォーラム開催にあたって」と題してエネルギー・資源フロンティアセンターの佐藤光三教授より、本フォーラム開催の趣旨・意図などの説明がなされました。
講演セッションでは、5件の発表が予定され、それぞれの分野において「今ある技術、活かせる技術、足りない技術」という視点から発表が行われました。まず探査技術分野からは、「CCSのための地下情報の収集とその利用」と題して、京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻教授の松岡俊文先生よりご講演いただきました。CCS事業と石油開発事業とのコンセプトの違いを説明され、今後有望とされるいくつかの探査手法などを実際の例を用いて紹介いただきました。続いて掘削技術分野からは、「地下へのアクセスとそれに伴う問題点」と題して、エネルギー・資源フロンティアセンターの長縄成実助教から講演がありました。坑井掘削の基礎をわかりやすく解説し、石油坑井の基本的な掘削・仕上げ・廃坑技術が活かせること、また足りない技術として長期にわたる漏洩対策があることを指摘されました。続いて貯留層工学分野からは、「次期実証候補-磐城沖ガス田CCS計画の概要」と題して、国際石油開発帝石株式会社技術本部技術企画ユニットのシニアコーディネーターでいらっしゃいます堀江忠司様よりご講演いただきました。CCSトータルシステムのフィージビリティスタディとして、磐城沖ガス田でのプロジェクトの紹介をしていただきました。続いてシミュレーション技術分野からは、「岩野原CO2地中貯留実証試験におけるシミュレーション・スタディ」と題して、日本オイルエンジニアリング株式会社の顧問でいっらしゃいます大熊 宏様よりご講演いただきました。岩野原でのCO2地中貯留実証試験を対象としたシミュレーションを紹介され、現行のシミュレーション技術により、CO2を注入した後の帯水層で起こる現象を表現できることを説明され、今後の課題として、岩盤力学的アプローチを強化すること、貯留層の不均質性を扱う技術を開発することが必要であることを指摘されました。最後に分離・回収技術分野からは、「北アフリカにおけるCCS経験からのフィードバック」と題して、日揮株式会社 第2プロジェクト本部アルジェリア・資源開発プロジェクト事業部の理事・事業部長代行でいっらしゃいます伊藤文博様よりご講演いただきました。CCS分離回収技術の概要をご説明され、アルジェリア・インスラーでのプロジェクトのご紹介をされ、何故CCSが実現したのかについて述べられました。
講演後のパネルディスカッションでは、講演セッションでの講演者に加えて、エネルギー工学連携研究センター長の堤 敦司教授と日本CCS調査株式会社業務企画部長でいらっしゃいます関根和夫様にパネリストになっていただき、CCSに向けた展望についての熱心な議論や質疑応答が行われました。最後に、エネルギー・資源フロンティアセンターの玉木賢策センター長より閉会の挨拶がありました。懇親会に場を移しても有意義な意見交換が続きました。CCSフォーラムは、今後もシリーズ化して開催していくことを計画しており、引き続き多数の方々に参加いただけることを期待しています。
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